にかほ市・伊藤家の真っ白な珀とマテ 「兄」「弟」団らんの中心

 真っ白でふさふさの毛並みに、つぶらな黒い目。町を歩けば自然と人の目を引く。にかほ市田抓の伊藤賢さん(54)=会社員=の愛犬「(珀はく)」(雄、1歳)だ。散歩でよく足を運ぶのは同市のフェライト子ども科学館近くにある「サイエンスパーク」。その青々とした芝生の上では、白い毛並みがひときわ映える。遊びに来た小さな子どもたちが「わんわん!」と声を上げて近づいてくることも多い。

 珀が伊藤さん宅にやって来たのは2025年2月。妻のルミ子さん(53)らが、SNSで里親募集中の秋田犬を見つけた。その直前、伊藤さんは胃腸炎にかかり、寝込んでいた。以前から家族間で「犬を飼いたい」と話していたこともあり、犬との散歩を通じて自身の健康にもつながればいいと迎え入れた。

珀をなでながら「おかげで世界が広がった」と話す伊藤さん。右はマテを抱っこする塁さん=にかほ市のサイエンスパーク



 それから朝は30分、夜は1時間ほどの散歩が伊藤さんの日課になった。「健康的になったが、夜の散歩後のビールとご飯がおいしくて。逆にお腹回りは3センチ大きくなりました」と笑う。

 秋田犬を飼うのは初めてだった。頼りになったのは、インスタグラムなどSNSを通じて得た情報だ。飼い方を学ぶだけでなく、交流の輪も広がった。秋田犬保存会県南支部にも加入し、ふれあい会のほか、県立農業科学館(大仙市)でクマ対策として行われている「わんわんパトロール隊」の活動などにも参加。会員同士で飼育について情報交換する機会も増えた。「自分の周りの人間関係は、珀がいることでどんどん広がった。家でも珀についての話題や明るい話が増えた」

 能代市の犬舎で生まれた珀には、山形県と東京都で暮らすきょうだい犬がいることが、SNSをきっかけに分かった。今では連休やお盆などに合わせ、3匹と飼い主同士が顔を合わせることもある。伊藤さんにとって珀は世界を広げてくれる存在だ。

きょうだい犬である赤毛長毛のがっしゅ(写真左、東京都)、虎毛のさちこ(写真中央、山形県)と並ぶ珀。8月ににかほ市に集合した時の一枚(伊藤さん提供)


 そしてこの夏、伊藤家に新たな家族が加わった。サモエド「マテ」(雄、4カ月)だ。里親を募集していた保護犬を迎え入れた。

 珀は体が大きく、ドッグランに行っても他の小型犬や中型犬との接触でけがをさせる恐れがあるとして、一緒に遊ぶことができなかった。伊藤さんは他の犬が遊ぶ姿を見つめる珀を見て、「家の犬同士なら思い切り遊ばせてあげられる」と考えた。マテを受け入れることにした理由だ。

 マテは白いふさふさの毛並みにつぶらな目、太い足という特徴。珀とよく似ている。

 「マテ」の名付け親は意外な人だった。自宅に迎えたばかりの頃、にかほ市ではサッカーJ2の藤枝MYFCが合宿中だった。サッカー好きの伊藤さんは、まだ名前のなかった真っ白な子犬を連れて練習を見に行った。そこで子犬に目を留めたのは元日本代表の槙野智章監督。伊藤さんが命名を求めたところ、槙野監督が毎日飲んでいるというマテ茶にちなみ「マテ」と名付けてくれた。

並んで芝生の上を散歩する珀(左)とマテ=にかほ市のサイエンスパーク


 マテは好奇心旺盛で、まだやんちゃ盛り。珀に飛びついて、じゃれつくこともしばしばだ。温厚な珀はじっと受け止めることが多いが、時にはたしなめるようなしぐさも見せる。少しずつ「兄」と「弟」のような関係ができてきたようだ。伊藤さんと一緒に暮らす三男の塁さん(23)は2匹を迎えて「家の中が明るくなった」と話す。

 犬のほかには猫もいる。「毎日、明るくて楽しい家」と伊藤さん。にぎやかな日々が続いている。

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わんこがつなぐ世界と秋田

モフモフした毛並みに、つぶらな瞳、くるりと丸まった愛らしいしっぽ。たくましい身体を持ち、飼い主に忠実な性格でも知られる秋田犬は、今や世界中の人気者です。海外での飼育頭数は増え続け、本場の秋田では観光振興に生かそうという動きも活発化してきました。秋田魁新報は「秋田犬新聞」と題し、国内外のさまざまな情報を発信していきます。秋田犬を通して世界と秋田をつなぐ―。そんなメディアを目指していきます。

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