秋田犬保存会(秋田県大館市)の第149回本部展が3日、大館市の桂城公園で開かれた。国内外から170匹がエントリーし、国の天然記念物に指定されている秋田犬が容姿の美しさを競った。大館市で春季本部展が開かれるのは2年ぶり。
春季本部展は長年、主催者である保存会の本部がある大館市で行われてきたが、秋田犬会館の改修費助成を巡って市側と保存会の関係が悪化し、昨年は初めて大仙市で開催した。その後、関係者間で協議を重ね、3月の保存会総会で2年ぶりの大館開催が正式決定。市と保存会など関係8団体でつくる実行委員会形式での開催となった。
開会式で実行委員長の福原淳嗣・大館市長は「149回を誇る本部展だが、あえて第1回目の本部展だと申し上げたい。気持ちを新たに、世界中に秋田犬を囲む大きな輪を広げていこう」とあいさつ。保存会の遠藤敬会長は「いつまでも保存会だけでやっていては、これ以上の成長は見込めない。行政や各種団体の皆さんと共に盛り上げようと決意している」と述べた。
審査は最も若い幼犬B(生後6カ月以上8カ月未満)から成犬A(4歳以上)まで年齢別の6部門で雄雌別で行った。審査員は保存会が1938年に定めた基準「秋田犬標準」に従い、秋田犬らしい特徴が表れているかどうかを入念に確認。立ち姿の姿勢に加え、毛並みや歯並びの美しさなど各項目を採点した。
初めて出陳した荻原千聖さん(33)=兵庫県猪名川町=は「きょうに向けて運動や食事などに気を配ってきた。ただ、それ以上に周りの秋田犬もいい仕上がりでレベルの高さを感じた」と話した。
どの犬も審査が終わるまで前を向いてじっと立つなど、堂々とした振る舞いを見せた。会場には市内外から多くの秋田犬ファンが訪れ、審査の様子を見守っていた。
長年本部展に出陳してきた日景久榮さん(74)=大館市釈迦内=は「今まで大館で開かれるのを当たり前に思っていたこともあり、昨年は少し寂しさもあった。改めて大館で開催されてうれしい」と語った。
本部展の開催に合わせ、市役所では市が新たに購入した「黄金の秋田犬像」と「純金の秋田犬像」がお披露目された。午前8時45分の公開から続々と見物客が訪れ、興味深そうにのぞき込んだり、写真に収めたりしていた。
各部門の最優秀は次の通り。(かっこ内の出陳者は敬称略、地名は支部名)
【成犬A】▽雄=安房大帝(林洋一、埼玉県中央)▽雌=鈴芽(横井哲也、三岐)
【成犬B】▽雄=新城(冷水澄夫、大阪府)▽雌=奏(遠藤兵治、秋田中央)
【壮犬】▽雄=臣愷(安永信行、福岡中央)▽雌=保乃可(筒井章博、香川県)
【若犬】▽雄=金成奥州(林洋一、埼玉県中央)▽雌=陸前鈴姫(渡辺克、宮城県)
【幼犬A】▽雄=安房大宝(松永寿一、千葉県)▽雌=ちはや(筒井章博、香川県)
【幼犬B】▽雄=巌龍(髙野英雄、青森県)▽雌=美琴(中川雄斗、三岐)