6匹の秋田犬と暮らす会社員男性 「この子たちのために働く」

  • 2023-03-16
  • 2023-03-16
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 秋田県横手市猪岡に住む宇元高幸さん(59)は、ブリーダーではなく普通の会社員だが、1人で6匹の秋田犬を飼っている。「今はこの子たちのために働いているようなもの」と話し、忙しくも楽しい日々を過ごしている。

気持ちよさそうにひなたぼっこする杏鈴姫

 2月下旬の晴れた日、記者が宇元さん宅を訪れると、家の前には杏鈴(あんり)姫(雌、5歳)が静かにたたずんでいた。やがてアスファルトに寝転がり、気持ちよさそうにひなたぼっこを始めた。

 6匹は普段、車庫の中に設けられた宇元さん手作りのペットサークル(柵)で過ごしている。「本当は家の中で自由に過ごさせたいけれど、6匹ともなるとそうはいかない」

車庫内の通路に寝そべる桃次郎。最年長らしい貫禄が感じられるのだが…


 この日、芽郁(めい、雌、2歳)は車庫の前に座り、最年長の桃次郎(雄、7歳)は通路に寝そべっていた。芽郁が産んだ春うらら、春かすみ(ともに雌、1歳)、恋多郎(雄、同)のサークルはそれぞれ行き来できるようになっており、3匹は元気にじゃれ合っていた。

 朝晩の散歩は、桃次郎、杏鈴姫、芽郁の3匹が一緒。春うららと春かすみもペアで行うが、やんちゃ盛りの恋多郎だけは単独だ。恋多郎は5月に大仙市で行われる秋田犬保存会の本部展に出陳予定で、日々訓練を積んでいるという。

宇元さんが飼う(左手前から)桃次郎、芽郁、杏鈴姫

 6匹一緒に写真に収めるのは難しいため、別々に撮影させてもらった。子どもたちをサークルから出した時の「大人組」の反応は対照的。杏鈴姫はわれ関せずといった表情。芽郁は車庫の前に立ち続け、子どもたちの帰りをじっと待っているかのようだった。

春うらら(右)と春かすみの姉妹

 一方、車庫の奥からは桃次郎の「ボクも一緒に連れて行って」と言うような甘えた鳴き声が聞こえてきた。「雄の方がさみしがり屋で焼きもち焼きだよな」と宇元さんは笑う。

恋多郎も加わり、3きょうだいは元気いっぱいじゃれ合っていた

 幼い頃から動物好きだったという宇元さん。初めて秋田犬を飼ったのは今から20年ほど前。市内に住むブリーダーから譲ってもらった雌の「もも」を育て始めた。「子どもに喜んでもらおうと思って飼い始めたが、私の方が夢中になった」と話す。

 ももが2015年に死んだ時の寂しさは「事前に覚悟していた以上だった」という。数カ月後には、生後間もない雄を大館から迎え、桃次郎と名付けた。同時に秋田犬保存会にも加入した。「以前は飼うだけで満足していたが、秋田犬についてもっと学びたくなった」

 交流サイト(SNS)で桃次郎に関する情報を発信、全国に秋田犬仲間ができた。「そうこうするうちに欲が出てきた」と言い、18年に杏鈴姫、20年に芽郁を迎え入れ、各地の展覧会に出陳するようになった。

車庫の前に立つ芽郁。子どもたちの帰りを待つ母親のようだった

 21年暮れ、芽郁は4匹の子どもを出産した。当初は1匹だけ手元に残そうと考えていたが、新たな飼い主が見つかったのは1匹だけ。「他の人に譲るには大きくなり過ぎ、愛着も湧いていた」と、宇元さんは残る3匹を自分で飼うことを決意した。

 雄の秋田犬は縄張り意識が強いため、恋多郎が成長して力が強くなってからは、桃次郎とトラブルを起こさないよう細心の注意を払っている。

やんちゃ盛りの恋多郎

 「コロナ禍前は、秋田ふるさと村や田沢湖に犬たちを連れて出かけ、観光客に喜んでもらっていた。6匹とも人にかわいがってもらうのは大好きなので、また以前のように一緒に出かけたい」と宇元さん。そのために、ミニバンタイプの自家用車をワンボックスカーに買い替えることを検討中だという。

 「さすがにこれ以上は増やせないが、6匹と楽しい思い出をつくっていきたい」と明るい表情で語った。

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わんこがつなぐ世界と秋田

モフモフした毛並みに、つぶらな瞳、くるりと丸まった愛らしいしっぽ。たくましい身体を持ち、飼い主に忠実な性格でも知られる秋田犬は、今や世界中の人気者です。海外での飼育頭数は増え続け、本場の秋田では観光振興に生かそうという動きも活発化してきました。秋田魁新報は「秋田犬新聞」と題し、国内外のさまざまな情報を発信していきます。秋田犬を通して世界と秋田をつなぐ―。そんなメディアを目指していきます。

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