“きょうだい”育てる毎日 由利本荘市の佐藤さん夫婦【動画】

 「生きているだけでかわいい」。そう語る秋田県由利本荘市西目町の会社員佐藤美幸さん(24)と、夫の竜聖さん(24)が飼う琥珀(2歳、雄)は、ミルクティーのような淡い毛色がトレードマークだ。昨年、夫婦には長男が産まれ、1歳違いの“きょうだい”を育てる毎日を楽しんでいる。

ミルクティーのような淡い毛色が特徴の琥珀

 今月上旬、夫婦の自宅を訪ねると、近所を散歩していた竜聖さんと琥珀が戻ってきたところだった。当日はじんわりと汗ばむ陽気で、琥珀はハアハアと息が上がっていた。

 「今日は暑いもんね」。自宅前で長男の翔喜ちゃん(11カ月)と待っていた美幸さんが声をかける。一休みして水分補給をした後、撮影を兼ねて再び散歩に繰り出すことにした。

 水を張った田んぼが広がるのどかな風景の中を、琥珀が尻尾を揺らしながら、テンポ良く歩いていく。カメラを向けるとお座りしたり、とびっきりの笑顔をくれたり。美幸さんは「気付いたら、お座りもお手もできるようになっていました」と話す。

 西目地域はリンゴの栽培が盛ん。散歩の途中で、リンゴをモチーフにした待合所付きのバス停を通りかかった。床のコンクリートがひんやりと冷たく、琥珀は寝そべってクールダウン。横に座った翔喜ちゃんが興味深そうに見つめると、琥珀は一瞬においを嗅いで再び突っ伏した。琥珀のほうが1歳“お兄ちゃん”だが、まだ微妙な距離感があるらしい。

バスの待合所で休む翔喜ちゃん(上)と琥珀。1歳差の“きょうだい”だ

 散歩から戻ると、自宅前でホースの水浴びを楽しんだ。初めは、勢いよく地面を跳ねる水に恐る恐る脚を近づけていたが、次第に慣れ、最後は気持ち良さそうに目をつぶって空を仰いでいた。

自宅前で水浴びを楽しむ琥珀

 琥珀と夫婦が出合ったのは2022年5月。特に購入する予定はなく、たまたま出かけた秋田市のペットショップにいたのが琥珀だった。美幸さんが抱っこさせてもらうと、琥珀は前脚にありったけの力を込めてしがみついてきたという。

 「抱っこした瞬間に『この子だ!』って。今日連れて帰らなかったら後悔すると思いました」(美幸さん)。世話の心配をする竜聖さんを「私が面倒を見るから」と説得し、その日のうちに家族として迎え入れた。

 23年には翔喜ちゃんが産まれ、一段とにぎやかになった佐藤さん一家。車に乗るのが好きな琥珀を連れ、桜の時期は仙北市角館町の武家屋敷通り、夏には由利本荘市鳥海町の法体の滝など、季節ごとに家族で県内各地に出かけることが増えた。

 思い出深いのは今年の2月、大館市の「アメッコ市」会場でのこと。秋田犬パレードを琥珀と一緒に見学していると、居合わせた他の見物客から琥珀の写真を撮りたいと何度も声をかけられた。美幸さんは「撮影希望の人で列ができ、なかなか前に進めないほど。顔や毛色がかわいいとたくさん褒めてもらい、人が大好きな琥珀はうれしそうでした」と語る。

水浴びの後、気持ち良さそうに目をつぶって空を仰ぐ琥珀

 幸せな思い出が増えていく日々の先に、夫婦はこんな未来を思い描く。

 結婚して2年になる2人は、式を挙げていない。美幸さんは「みんなでいつか家族写真を撮りたい。もし式をやる機会があれば、琥珀にも参加してほしい」と笑う。

 琥珀の将来についても考えている。「すてきなパートナーを見つけてあげたい。かっこいい虎毛が希望だけど、一番は琥珀を立ててくれる子がいいな」

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わんこがつなぐ世界と秋田

モフモフした毛並みに、つぶらな瞳、くるりと丸まった愛らしいしっぽ。たくましい身体を持ち、飼い主に忠実な性格でも知られる秋田犬は、今や世界中の人気者です。海外での飼育頭数は増え続け、本場の秋田では観光振興に生かそうという動きも活発化してきました。秋田魁新報は「秋田犬新聞」と題し、国内外のさまざまな情報を発信していきます。秋田犬を通して世界と秋田をつなぐ―。そんなメディアを目指していきます。

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