密を避けて「わさお」弔って 青森・鰺ケ沢町に特設献花台

  • 2020-08-11
  • 2020-08-11
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8月9日の「わさおを偲ぶ会」で使われた献花台。16日まで一般の人も献花することができる=青森県鰺ケ沢町の日本海拠点館あじがさわ

 白くて長いもふもふの毛と愛くるしい表情で多くの人を魅了した秋田犬の「わさお」が天国へ旅立ってから2カ月が過ぎた。今なお、わさおが “出勤”していた青森県鰺ケ沢町のいか焼き店「きくや商店」には、わさおに手を合わせようと多くのファンが訪れている。

 そんな中、密を避けながらわさおを弔ってもらおうと、同町の総合文化施設「日本海拠点館あじがさわ」に特設の献花台が設けられた。8月9日に開かれた「わさおを偲(しの)ぶ会」で使われたもので、16日まで一般の人も献花することができる。また、同所では30日まで「わさおを偲ぶ写真展」も開かれている。

献花台には、わさおの遺影のほか、「わさおねぷた」と、精巧に作られた等身大のわさお人形が飾られた

 献花台には、わさおの遺影のほか、2011年に公開された映画「わさお」の際に制作された「わさおねぷた」と等身大のわさお人形が飾られた。「わさおねぷた」は、ねぶた師・竹浪比呂夫さんが手掛けたもので映画にも登場した。わさお人形は、関節を動かすことができ、さまざまなポーズが取れる。わさおの撮影に支障が出た際の身代わりに用意されたが、結局わさおはほぼ全編にわたって“熱演”したため、出番はほとんど無く、その存在はほとんど知られていなかった。今回、わさおの葬儀に合わせて里帰りが実現。今後は、設置場所は検討中だが、町内で展示される見込みだ。

幼年期から最晩年までのさまざまな写真が飾られた「わさおを偲ぶ写真展」

 同時に開かれている「わさおを偲ぶ写真展」では、わさおの世話などを務めてきた支援団体「わさおプロジェクト」代表の工藤健さんが撮りためた写真の中から約40枚をセレクト。飼い主だった菊谷節子さん(2017年死去)との笑顔の2ショット写真など有名なもののほか、初公開の写真も登場。わさおが菊谷家に拾われて間もない1歳のころから、13歳で他界する直前までの変遷を追うことができる。

 入館無料。午前9時~午後6時。月曜、火曜休館。入館時にはマスク装着が必要。

生前のわさおの活躍に対し、鰺ケ沢町から「名誉犬章」が贈られた

 「わさおを偲ぶ会」は、鰺ケ沢町、町観光協会などで組織する「わさおありがとう実行委員会」が主催。平田衛・鰺ケ沢町長や町議など関係者のほか、町内外から訪れたわさおファンなど合わせて約100人が参加した。

 鰺ケ沢町特別観光大使などを務め、知名度向上に貢献したとして、同町から、わさおに「名誉犬章」が、菊谷節子さんには「スペシャルアワード」が贈られた。「偲ぶ会」の冒頭に授与式が行われ、平田町長から節子さんの長男・忠光さんに手渡された。

 平田町長は「わさおは鰺ケ沢町を代表する顔として町の観光振興などに大いに貢献してくれた。わさおと節子さんの活躍は、多くの人々の胸に深く刻まれ、長く語り継がれるだろう。それを無にすることのないよう、町民一人一人がしっかり頑張っていきたい」と弔辞を述べた。

時々声を詰まらせながら、わさおとの思い出を語りかける工藤さん

 淡々と式が進む中、会場からすすり泣きが聞かれたのは、工藤健さんの「偲ぶ言葉」の場面。「わさお、おはよう。雨降ってるよ。あなた、晴れ男だったんじゃないですか?」と、いつもわさおに語りかけていたように話し始めた工藤さんだが、節子さんや嫁のつばきに先立たれ、悲しみを共にした日々を振り返るうちに感極まったのか、時々声を詰まらせる場面もみられた。

 「あなたの生涯は一冊の物語を見るようだった。あなたとの別れはどうなるのだろうと思っていた。6月8日、その日だとは全く予想していなかった中、あなたは安らかに、眠るようにまぶたを閉じた。私は今も、あなたに振り回されている。でもそのことがとてもうれしい」とわさおへ感謝の気持ちを口にしていた。

 最後に菊谷忠光さんが「母は『わさおは天からの授かり物だから、大切に預かりたい』と、実の息子である私以上に、わさおのことをかわいがっていた。わさおは皆さんを元気に、幸せにするためにいたのだと思う。これからもわさおのことを忘れないでいてほしい」と参列者に謝辞を述べた。

「偲ぶ会」終了後、わさおに献花をする一般参列者

 「偲ぶ会」では関係者一人一人が白いカーネーションを捧げていた。会が終了後、一般参列者は密にならないよう注意しながら持参した花を手向け、手を合わせていた。

 偲ぶ会を見守っていた茨城県ひたちなか市の会社員女性(52)は、2009年以降、多い時では年4回ほど、わさおに会いにきていたという。「秋田犬が大好きでこれまでも親戚が飼っているものを含めて色々な犬と親しんできたが、わさおほど元気をもらえる犬はほかにはいなかった。今までありがとう、天国でゆっくり休んでほしい」と話していた。

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わんこがつなぐ世界と秋田

モフモフした毛並みに、つぶらな瞳、くるりと丸まった愛らしいしっぽ。たくましい身体を持ち、飼い主に忠実な性格でも知られる秋田犬は、今や世界中の人気者です。海外での飼育頭数は増え続け、本場の秋田では観光振興に生かそうという動きも活発化してきました。秋田魁新報は「秋田犬新聞」と題し、国内外のさまざまな情報を発信していきます。秋田犬を通して世界と秋田をつなぐ―。そんなメディアを目指していきます。

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