かみつき事故を起こし、秋田県動物愛護センター「ワンニャピアあきた」(秋田市雄和椿川)で矯正訓練に取り組んでいる秋田犬「大河」(雄、3歳)が、今月上旬に去勢手術を受けた。犬が去勢・避妊手術を受けると、どんな効果があるのだろうか。大河の訓練を担当する一般社団法人「ワンフォーアキタ」(同市)のドッグトレーナー・鈴木明子さん(59)に聞いた。
―去勢・避妊手術を受けるメリットは。
「マーキング行為など飼い主を困らせるような行動が減り、飼いやすくなる。攻撃性が強かったり、テンションが高かったりする犬はそれがだんだん収まる。また、雄は前立腺肥大、雌は子宮蓄膿(のう)症といった子宮関係の病気を防ぐことができる。中には命に関わる病気もあるので、手術を受けることが結果的に長生きにつながる」
―手術を受ける目安の時期は。
「生後10カ月~1歳を過ぎた頃が目安。繁殖の予定がなければ早めに受けたほうがいいと思う」
―手術後に気を付けるべきことは。
「犬が傷口を触るなどして化膿させない工夫が必要。雄であれば首にエリザベスカラーを着けたり、雌なら腹を覆う洋服を着せたりするといい」
―去勢手術を受けた大河の様子は。
「経過は良好。エリザベスカラーを着けているが、嫌がる様子はなく元気に過ごしている。術後10日ほどで抜糸できる見込み」
―犬を飼っている人へのメッセージを。
「種の保存という意味で繁殖は必要なことだが、動物取扱業の許可を持たない一般の家庭が『飼っている犬の子どもを見てみたい』という気持ちだけで繁殖させるのは難しい。動物愛護管理法では許可を持たずに動物を売買することや、遺棄を処罰対象として厳しく定めている。生まれた子どもたちの命に責任を持てるか、考えてみてほしい。手術のことで分からないことがあったら、まずは動物病院やワンフォーアキタに相談を」
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大河は傷口が回復次第、矯正訓練を再開する予定。犬の移動用ケース「クレート」にスムーズに入ったり、ワンニャピアあきた以外の場所で散歩したりできるようになるのを目指す。