換毛期の秋田犬、抜け毛が山のよう ブラッシングは念入りに

  • 2022-03-17
  • 2022-03-17
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 秋田犬は、皮膚を守るためのやや硬めの毛と、保温効果を高める柔らかい毛で覆われている。飼育環境にもよるが、おおむね春と秋の年2回、毛が生え替わる。大型犬とあって抜け毛の量は多く、手入れは大変だ。秋田犬の飼い主に、換毛期の苦労や手入れのこつを聞いた。

ブラッシングを終えた秋田犬。抜けた毛が山のようになった

 「初めて換毛期を迎えたときはパニックになりそうだった。粘着クリーナーやロボット掃除機で何度掃除しても追いつかず、これがずっと続いたらどうしようと不安になった」―。群馬県高崎市で3歳の雌と1歳半の雄を飼う50代女性は振り返る。

 動画投稿サイト「ユーチューブ」の人気チャンネル「秋田犬げんき」を運営する秋田市の保坂秀幸さん(58)によると「換毛期は毎日ごみ箱1杯分の毛が抜ける」という。

 大館市の観光交流施設「秋田犬の里」で愛犬を披露している千葉正人さん(64)は「特定の場所に犬を閉じ込めたとしても、結局毛は家中に広がってしまう。だから犬には好きな場所にいさせている」と話す。

 「抜け毛は8割ぐらい片付けばいいと思っている。出掛ける時に着替えればいいので、服に付いた毛は気にしない」(保坂さん)、「床の色が明るいので、多少毛が落ちていても見なかったことにしている。服装も毛が目立たない色を選んでいる」(高崎市の女性)―。換毛期の心構えで飼い主たちに共通しているのは、あまりに気にしすぎないことだった。

 ただ、この時期には犬を念入りにブラッシングし、抜け毛を丁寧に取り除くことを忘れてはいけない。そのためには普段からのしつけが重要になる。

 能代市の秋田犬専門犬舎「能代幸寿荘」を営む本瀬純一さん(59)は「どこを触られても嫌がらないようにしつけておかないと、抜け毛を取り除くのは難しい。幼いうちから体のあちこちを触ってあげてほしい」と話す。

秋田犬にブラッシングする鈴木さん

 秋田犬の殺処分ゼロを目指す一般社団法人「ワンフォーアキタ」(秋田市)のチーフドッグトレーナー鈴木明子さん(60)は「ブラッシングは犬にとって絶対必要なことだし、飼い主がちゃんとやれば気持ちよいと感じてもらえるはず。犬が嫌がるなら、しつけを見直した方がいい」と手厳しい。

 今月上旬、鈴木さんにブラッシングを実演してもらった。鈴木さんが使っているのは金属のピンが付いた「スリッカーブラシ」と金属製のくし。毛の流れに沿ってブラッシングすると、隠れていた白い抜け毛が次々と浮き上がってきた。30分ほどで、小型犬1匹ほどの大きさの抜け毛の山ができた。

 ブラッシングを受けたリンゴ(10歳、雌)は、9歳で保護されるまで、ブラッシングされた経験はなかったという。それでも鈴木さんが優しくブラッシングする間、リンゴは嫌がるそぶりは全く見せなかった。

気持ち良さそうな表情の秋田犬

 力加減について、鈴木さんは、自分の手の甲にブラシやくしを当ててみることを勧める。「痛かったり赤くなったりするようなら、犬にとっても強すぎということ。ちょうど良い力加減を自分の体で覚えてほしい」と話す。

 抜け毛を放置するのは見栄えはもちろん、皮膚の健康を保つためにも良くない。鈴木さんは「換毛期のブラッシングは重労働。一気に全部やろうとせず、部分ごとに分けてやるのも一つの方法」とアドバイスする。

獣医からのアドバイス くしで根元からしっかり

 大館市の若松獣医科病院の若松清則院長(62)に、換毛期の秋田犬の世話について注意点を聞いた。

若松清則院長

 秋田犬に限らず、毛が引っかかって痛い思いをした経験があるせいか、ブラッシングを嫌がる犬がいる。小さいときから小まめにブラッシングし、慣れさせておくことが大切だ。長毛の場合、毛玉ができやすいので、普段からしっかりブラッシングしてあげてほしい。

 毛に泥や水がついたまま放置すると毛の状態が悪くなることがある。散歩を終えたらしっかり体を拭いてあげよう。

 ブラッシング道具は手袋タイプなど色々あるが、中には隠れた抜け毛を除去する効果が期待できないものもある。色々試しながら、自分に合った道具を使ってほしい。私は金属製のくしを使うのが一番良いと思う。皮膚に触れるか触れないかぐらいのギリギリの力加減で根元からしっかりブラッシングすれば、抜け毛は十分取り除くことができる。

 換毛期には、フケのようなものも皮膚から出てくる。ブラッシングで除去してあげないと、換毛がうまく進まないことがある。また、秋田犬は皮膚病にかかりやすいので、ブラッシングしながらしっかり様子を観察し、異変に早く気付いてあげてほしい。

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わんこがつなぐ世界と秋田

モフモフした毛並みに、つぶらな瞳、くるりと丸まった愛らしいしっぽ。たくましい身体を持ち、飼い主に忠実な性格でも知られる秋田犬は、今や世界中の人気者です。海外での飼育頭数は増え続け、本場の秋田では観光振興に生かそうという動きも活発化してきました。秋田魁新報は「秋田犬新聞」と題し、国内外のさまざまな情報を発信していきます。秋田犬を通して世界と秋田をつなぐ―。そんなメディアを目指していきます。

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