秋田県男鹿市船川港の道の駅おが「オガーレ」にある「秋田犬ふれあい処(どころ)」で、4匹の秋田犬が交代で観光客を出迎えている。昨年5月、初代看板犬の「つばき」が引退。しばらくは展示が行われていなかったが、10月以降、後輩犬が次々とデビューを果たした。個性豊かで愛らしい4匹の魅力や、飼い主とのエピソードを紹介する。
愛嬌振りまく先輩犬 ロッキー(雄、5歳)
大型連休前半の先月29日、ふれあい処で元気に走り回っていたのは赤毛のロッキー(雄、5歳)。4匹の中で最初にデビューした。約7カ月が経ち、展示にもすっかり慣れた様子だ。
ロッキーは柵のすき間に顔をうずめたり、名前の呼び掛けに「ワン」と応えたり…。愛嬌(あいきょう)をたっぷりと振りまき、訪れた見学者を笑顔にさせていた。
飼い主は男鹿市の薄田饒さん(80)。秋田犬が大好きで、飼うのはロッキーが3匹目。飼育は「まだまだ難しい」としながらも、「優しさと賢さを兼ね備えているのが秋田犬の魅力」と語る。
「ありのままを見て」 ハチ(雄、4歳)
「飼って大正解」と語るのは、赤毛のハチ(雄、4歳)の飼い主・田村博信さん(68)。4年ほど前、グレート・ピレニーズとコーギーが相次いで死んだのを機に、元々憧れていた秋田犬の飼育を決意したという。
名前の「ハチ」は居住する八郎潟町が由来。性格は「自分に似て温厚だと思う」と笑う。今月2日の展示では子どもに名前を呼ばれると、柵に前脚をかけるポーズを連発し、注目を浴びていた。
田村さんは「くるんと巻いたしっぽも三角の耳も全てがかっこいい。お客さんにはありのままの姿を見て喜んでもらえたら」と話す。
巻きしっぽキュート ゆめ(雌、1歳)
くるんとした巻きしっぽがチャームポイントの赤毛のゆめ(雌、1歳)。今月8日の展示でも、歩くと左右に揺れるしっぽが、見学者の視線をくぎ付けにしていた。「ソフトクリームみたいでかわいい」との声も聞かれる。
秋田犬を飼う長年の「夢」がかなったから、名前は「ゆめ」にしよう―。飼い主の福司紀夫さん(48)=秋田市=は秋田犬との生活が始まる喜びを名前に込めた。
福司さんにとって、ゆめは初めて飼う犬。しつけや散歩など苦労は絶えなかったというが、福司さんは「見てるだけで癒される存在」と目を細める。
「人生のパートナー」 ハク(雌、2歳)
今月15日に登場したのは、真っ白な毛にピンクのスカーフが映えるハク(雌、2歳)。柔らかな表情と人懐っこいしぐさで見学者を魅了していた。
飼い主の加藤文恵さん(55)=男鹿市=は長年、秋田犬の展示施設を訪れたり動画を楽しんだりしていたという。2020年1月、能代市の犬舎で出会ったハクに一目ぼれし飼うことを決意。それからは「朝起こしてもらってから一日がスタート。人生のパートナーになってくれています」
ハクは2度の出産も経験。この日は秋田市から生後約5カ月の子どもが訪れ、久しぶりの親子の時間を楽しんでいた。
秋田犬ふれあい処での展示は土日祝日の午前11時と午後1時から各30分程度。悪天候時は展示を休止する。