89歳佐貫さん、今も秋田犬に夢中 雄の迫力「たまらない」

  • 2022-07-14
  • 2022-07-14
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 秋田県大仙市藤木に暮らす佐貫千代吉さん(89)=農業=は、間もなく90歳という高齢ながら、1人で4匹の秋田犬を飼育している。そのうち3匹は雄犬だ。「迫力があり、引っ張って歩くときの手応えがたまらない」と、これまで雄の秋田犬を中心に飼い続けてきた。

89歳の今でも、大仙誉など4匹の秋田犬を1人で飼育している佐貫さん=大仙市藤木

 「これっ!待て…どうした」―。

 取材に訪れた記者の前で佐貫さんにじゃれついてきたのは、今夏で1歳になる雄の「大仙誉」。まだまだやんちゃ盛りだが、佐貫さんが落ち着いてリードを上に引き上げると、展覧会に出ているかのような堂々とした立ち込み姿を見せた。

 「立ち込みがうまくできないと展覧会では高評価を得られない。普段から緊張感を持たせるようにしている」。

 佐貫さんは現在、大仙誉のほか5歳の雄犬2匹と、3歳の雌犬を飼育している。堂々たる体格をした5歳の雄犬たちがリードを引く力は相当なもの。毎日朝と夕方、1匹ずつ散歩させるのはかなりの重労働のはずだ。

 「まだ体が出来上がっていない大仙誉には、私が乗った自転車を引っぱらせるなど、しっかりと運動をさせている。他の犬は田んぼの間をちょっと歩くだけ」と佐貫さんは事もなげに話す。

佐貫さんにじゃれつく大仙誉

 佐貫さんは10代後半で秋田犬を飼い始めた。元々秋田犬が好きで、展覧会などに足を運ぶうちに、ある大仙市のブリーダーに飼い方を教わるようになった。

 そのブリーダーとは、現在秋田犬保存会秋田県南支部長を務める濱田正巳さん(84)の父・鶴夫さん(故人)だ。正巳さんはロシアのフィギュアスケート選手アリーナ・ザギトワさんに贈られた「マサル」を育てたことで知られるが、鶴夫さんも秋田犬飼育の名人だった。

 「佐貫さんも私も、父に弟子入りしたようなもの。2人で切磋琢磨(せっさたくま)しながら、良い秋田犬を育てようと頑張ってきた」と正巳さんは話す。

 農業の傍ら、多い時には15匹ほどの秋田犬を飼っていたという佐貫さん。雌に多くの子犬を産ませることよりも、一貫して優秀な種雄を育てることに力を入れてきた。

 50代後半のころ、ブリーダーとしての腕を買われ、甲府市の犬舎で4年ほど働いた。その際、当時自宅で飼っていた秋田犬をほとんど手放したという。犬舎を退職して地元に戻ってからは、以前より数を減らしながらも、やはり雄犬を中心に飼育を続けてきた。

 今年5月に大館市で開かれた秋田犬保存会の第145回本部展では、長年の功績を評価され会長特別功労者表彰を受けた。

まだまだやんちゃ盛りな大仙誉だが、キリッとした表情を見せることも

 佐貫さんは妻と次男夫婦の4人暮らしだが、秋田犬の世話をするのは佐貫さん1人。「もう年も年だから、これで最後の1匹にしようと何度も思ったが、良い犬と縁があればついつい飼ってしまう」と苦笑いする。

 「犬たちを残して入院してしまうと家族に迷惑がかかるので、健康にはかなり気を使っている」と話す佐貫さん。秋田犬を連れて歩く姿はもちろん、話しぶりも若々しい。

 毎日欠かさず散歩に出掛けるという規則正しい生活と、犬たちから元気をもらっていることも、健康を保つ秘訣(ひけつ)のようだ。

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わんこがつなぐ世界と秋田

モフモフした毛並みに、つぶらな瞳、くるりと丸まった愛らしいしっぽ。たくましい身体を持ち、飼い主に忠実な性格でも知られる秋田犬は、今や世界中の人気者です。海外での飼育頭数は増え続け、本場の秋田では観光振興に生かそうという動きも活発化してきました。秋田魁新報は「秋田犬新聞」と題し、国内外のさまざまな情報を発信していきます。秋田犬を通して世界と秋田をつなぐ―。そんなメディアを目指していきます。

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