偶然そろった!3色3匹 「とにかくいとおしい」家族【動画】

  • 2022-09-15
  • 2022-09-15
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 秋田市泉の登藤郁留(かおる)さん(52)は3匹の秋田犬と暮らしている。毛色はそれぞれ違って赤、白、虎の3種類。「さまざまな縁で家族に迎えていたら、偶然3色がそろった」という。

登藤さんが飼っている(右から)玲皇、大虎、来弥

 登藤さん宅の1階リビングには、犬たちが自由に動き回れる広々としたスペースがある。一角に設けられた土間の床は夏場でもひんやりしており、犬たちは体を休めることもある。「秋田犬のために、数年前に家を建て替えたんです」

 今月上旬、取材に訪れた記者に最初に気付いたのは白毛の玲皇(れお)(雄、5歳)。神経質で怖がりな性格からか、リビングの奥でほえながらこちらをうかがっていた。

白毛の玲皇

 虎毛の大虎(はると)(雄、3歳)と赤毛の来弥(らいや)(雌、2歳)は姿を現すとすぐさま記者を取り囲んだ。到着してものの数分、視界は秋田犬でいっぱいになった。

虎毛の大虎

 3匹の中で一番気が強いのが最年少の来弥。ぐいぐいと他の2匹に近づいては、遊びに誘う。玲皇は少し遠慮がちに応じ、徐々にギアが上がっていく。おおらかで優しい大虎は何をされても怒らず、終始受け入れている。

赤毛の来弥

 毛色も性格も異なる3匹だが、大の仲良し。一緒に出掛けた先で会う人に「3色そろってる」「白や虎もいるんだ」と驚かれるという。

 「『No Akita dog,No Life』ってくらい、秋田犬は人生になくてはならない存在」と登藤さんは話す。

3匹を飼っている登藤郁留さん(右)と夫の博昭さん

 登藤さんは今いる3匹より前に、2匹の秋田犬の保護犬を飼っていた。

 2012年ごろ、インターネットで里親を募集していた赤毛の秋田犬がなぜか気になった。2匹のミニチュアシュナウザーを飼っていたが、一緒に暮らすことを決めた。それが当時1歳の雷電(らいでん)だ。

 最初の2、3週間は攻撃的な態度だったが、登藤さんは「飼い主に捨てられた過去を持つのだから」と、辛抱強く向き合った。雷電は次第に穏やかになり、やがて家族を守ってくれるようなそぶりを見せるまでになった。「秋田犬って最高!」。登藤さんはすっかりとりこになった。

 それから1年後、雷電の相棒に迎えたのが、赤毛で雌のはるか(当時推定1歳)。静岡県で保護され、あと数日で殺処分されるところだった。

登藤さんが飼っていた保護犬の雷電(左)とはるか=2018年6月

 2匹はすぐに仲良くなり、県内外に車で出掛けるなど充実した日々を送った。17年には「今度は子犬から育ててみたい」と思い立ち、青森県の犬舎から玲皇を迎えた。

 玲皇を世話する雷電はまるでお父さんのように優しかった。玲皇はそんな雷電が大好きで、常に一緒にいた。

 だが、1年半後に雷電は病気で死んだ。玲皇は部屋に置いた雷電の遺影のそばから離れようとしなかった。食事もまともに取らなくなり、がりがりにやせこけた。その1カ月後、はるかも後を追うように死んだ。

 憔悴(しょうすい)しきった玲皇に仲間を作りたいと、福岡県の犬舎から迎えたのが大虎。玲皇は初め警戒していたが、半年もたつと心を開き、食欲や体力が戻ってきた。元気を取り戻した玲皇に、登藤さんは「本当に良かった」と胸をなで下ろした。それからまた1年後、今度は「雌の子犬を育てたい」と大虎と同じ犬舎から来弥を迎えた。

散歩する登藤さんと3匹

 こうしてそろった玲皇、大虎、来弥の3色3匹。それぞれを迎える時、登藤さんは「写真や動画を見て直感で選んだ」といい、3色そろえようという意識はなかったという。「この広い世界で私の家族になってくれた。とにかくいとおしい」

 登藤さんは自分が世話できる年齢を考え、秋田犬を迎えるのは来弥で最後と決めている。

 「この子たちがたくさん笑えるような生活を送りたい。一緒に歳をとって、老後の世話もしてあげたいんです」

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わんこがつなぐ世界と秋田

モフモフした毛並みに、つぶらな瞳、くるりと丸まった愛らしいしっぽ。たくましい身体を持ち、飼い主に忠実な性格でも知られる秋田犬は、今や世界中の人気者です。海外での飼育頭数は増え続け、本場の秋田では観光振興に生かそうという動きも活発化してきました。秋田魁新報は「秋田犬新聞」と題し、国内外のさまざまな情報を発信していきます。秋田犬を通して世界と秋田をつなぐ―。そんなメディアを目指していきます。

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