保護犬、両陛下お出迎え ワンニャピアの「小町」「りん」

  • 2020-07-15
  • 2020-07-16
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 1匹の小さな捨て犬が数カ月後、本県の代表として天皇、皇后両陛下を出迎える大役を任されるようになる―。秋田市雄和の県動物愛護センター「ワンニャピアあきた」に昨年保護された秋田犬の「小町」である。

皇后さまの鼻先をなめる小町=19年9月7日、ワンニャピアあきた

 ワンニャピアは「動物に優しい秋田」の実現に向けた拠点施設として2019年4月に開所した。保護された犬や猫の譲渡のほか、飼い主に対する動物への接し方のアドバイスや、動物愛護に携わるボランティアの育成を通じ、犬猫の殺処分ゼロを目指している。

 施設には、犬のしつけ方教室の模範演技などで活躍しているパートナー犬が3匹おり、うち2匹が秋田犬。のんびり屋の「小町」と、ふんわりとした長毛がチャームポイントの「りん」だ。

 小町は推定4歳の雌。昨年4月、「子どもが犬に追いかけられている」との通報を受けた保健所の職員が県南の田園地帯で保護した。飼い主が現れなかったことから捨て犬と判断され、5月上旬にワンニャピアへ引き渡された。保護された当時は、腰骨が浮かび上がるほど痩せ細り、全身毛玉だらけ。手入れやしつけがされていないことが一目で分かる容姿だったという。

のんびり屋の「小町」

 もともと性格は怖がりで、保護されたばかりの頃はどこへ行くにもびくびくしていた。しかし、職員らと触れ合ううちに徐々にリラックスするようになり、本来ののんびり屋の気質が見られるようになった。今では、「座れ」「待て」などの基本動作のほか、飼い主に寄り添って歩く「リーダーウオーク」もお手の物だ。

 一大転機は昨年7月。秋に開かれる「第39回全国豊かな海づくり大会」で来県される天皇、皇后両陛下のワンニャピア視察が決まり、出迎えをする秋田犬として小町に白羽の矢が立ったのだ。

 両陛下の出迎えは、施設出入り口正面のエントランスホール。慣れない場所を嫌う小町のため、2週間前から職員が交代でホールへ連れて行き、なでたりおやつを与えたりしながら「ここは楽しい場所だよ」と伝え、安心感を与えた。

小町と触れ合う天皇、皇后両陛下

 迎えた当日。皇后さまは小町に触れ「毛がふわふわですね」と笑顔。優しい手つきでなでる皇后さまのもとへとことこと歩み寄り、皇后さまの鼻先をペロリとなめるハプニングも。見守る職員や随行者たちが思わず笑みをこぼす和やかな雰囲気だった。

 金和浩所長(59)は「両陛下の目は小町にくぎ付け。小町に触れてにこにこと笑みを浮かべている様子を見て、本当に動物がお好きなんだろうなとうれしく感じた」と振り返る。「普段は怖がりな小町が当日は堂々と振る舞い、思いも寄らない行動で周りを驚かせた。動物は人間の想像を超えることをするものだと、しみじみ感じた」

 施設のもう1匹の秋田犬、りんは1歳の雌。生後10カ月の頃、秋田犬の保護に取り組む一般社団法人「ワンフォーアキタ」を通じ、飼い主からワンニャピアに引き取られた。

ふわふわとした長毛が特徴の「りん」

 約1年にわたりパートナー犬として活躍してきたが、「犬にとっての幸せは飼い主に寄り添って暮らすこと。愛情をたっぷり注いでくれる家族に出会ってほしい」との施設側の方針から、ワンニャピアが3月から飼い主を募っていた。50世帯から応募があり、りんと顔合わせをした結果、北秋田市の男性(24)への譲渡が内定した。引き渡しは4月下旬の予定。

 ワンニャピアによると、過去5年間で捕獲したり、引き取ったりした秋田犬は計44匹。新たな家族に出会える犬がいる一方、病気や性格の凶暴さを理由に殺処分されてしまう犬もいる。「秋田犬はすぐ飼い主になじむ動物ではない。だからこそ生を全うするまで責任を持って飼ってもらいたい。一匹でも多くの犬が幸せに暮らせるように」。金所長はそう願っている。

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わんこがつなぐ世界と秋田

モフモフした毛並みに、つぶらな瞳、くるりと丸まった愛らしいしっぽ。たくましい身体を持ち、飼い主に忠実な性格でも知られる秋田犬は、今や世界中の人気者です。海外での飼育頭数は増え続け、本場の秋田では観光振興に生かそうという動きも活発化してきました。秋田魁新報は「秋田犬新聞」と題し、国内外のさまざまな情報を発信していきます。秋田犬を通して世界と秋田をつなぐ―。そんなメディアを目指していきます。

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