空気の良い土地で、秋田犬と散歩しながら健康づくりができる―。秋田犬人気が高まる中、犬好きの人たちの参加を意識したウオーキングの体験プログラムが三種町にある。新型コロナウイルスの影響でツアー客の呼び込みは足踏み状態だが、関係者は「楽しみながら、ちょっとした運動が健康増進につながるということに気付いてもらえる機会にしたい」と話す。
体験プログラム「秋田犬と散歩」を企画・運営しているのは、三種町の一般社団法人ヘルスケアデザイン秋田(戸嶋諭代表)。
町は温泉や自然を生かした滞在型の健康保養地づくりを行う「クアオルト事業」に力を入れており、事業の核である「健康ウオーキング」のガイドを担う町民有志が出資して昨年6月に同法人を設立した。
健康ウオーキングは、町内の海岸線や森林など数カ所に設定した2、3キロほどのコースを、参加者の体力に応じて歩くプログラム。「秋田犬と散歩」はこのプログラムをベースに、町内在住の秋田犬の飼い主から協力してもらって行う30分程度のメニューだ。参加者の希望に合わせ、温泉入浴や食事などと組み合わせたスケジュールを提案している。
同法人事務局の鎌田真広さん(37)は「今は飼い主が秋田犬を散歩させるのに参加者が付き添うというスタイルが基本。いずれは法人が子犬から育て、大勢の人の前に出ることに慣れた秋田犬を、プログラムに参加させたい」と話す。
プログラムを立ち上げた当初は、大手旅行代理店と組んでモニターツアーを6月ごろに行い、参加者の反応を見ながらプログラムに磨きをかけていく―というプランを描いていた。新型コロナの影響でツアー実施は秋以降に延期された。
鎌田さんは「思うように宣伝できないが、申し込みはいつでも受け付けている。参加者にまた来たいと思ってもらえるような内容にしたい」と話す。
詳細は「ヘルスケアデザイン秋田」のサイトで紹介している。問い合わせは鎌田さんTEL090・6454・7371(平日午前9時~午後6時)
無邪気な姿、愛くるしく 散歩に同行
安藤俊雄さん(83)=三種町森岳、果樹農家=は体験プログラム「秋田犬と散歩」の協力者の一人。3年前に知人から譲ってもらった秋田犬の雄「龍太」を、プログラムに提供している。
長年、番犬として雑種を飼っていたが、秋田犬を飼うのは初めて。「体が大きくて力が強い。散歩させるのは大変だが、孫みたいでかわいくて仕方ない」とほほ笑む。
以前は隣の集落まで散歩に連れて歩いたこともあったが、最近は腰を痛めたこともあり、毎日の散歩は家の前の畑を1、2周するだけ。
それでもやんちゃ盛りの龍太は、散歩用の赤いリードを目にするだけで大喜び。「早く連れていって」と言わんばかりにリードをかじって引っ張ってくるという。
龍太との散歩に同行させてもらった。龍太は元気いっぱいで、リードを手にする安藤さんをぐいぐい引っ張り、よろけさせるほど。安全面への配慮から、プログラムの参加者にはリードを持つのを遠慮してもらっているという。
一方で臆病な一面も。記者がカメラを構えただけで、安藤さんの背後に隠れてしまった。その分、時折見せる愛くるしい表情は感涙もの。プログラム参加者にはぜひナイスショットを狙ってもらいたい。
龍太を介した体験プログラムの今後の展開について、安藤さんは「散歩だけでなく、家の前でのバーベキューなど、いろいろなことが考えられる。来てくれた人のいい思い出になるよう、協力できることがあれば何でもしたい」と話す。