英国製バイクの名前がなぜ「秋田」―。そんな声が聞こえてきそうなバイクが先月、発売された。英国のメーカー「MUTT MOTORCYCLES(マット モーターサイクルズ)」が売り出したのは、その名もずばり「AKITA(アキタ)」。名前の由来は?
アキタを輸入販売する「ピーシーアイ」(東京都)によると、角形の燃料タンクと直線的な短いローシートを組み合わせた力強いデザインが特徴。排気量は125ccと250ccで、街乗りに適している。ブラックとシルバーの2色を展開する。
マット社のバイクはいずれも、レトロでスタイリッシュなデザインが目を引く。主な購買層は20~40代と若く、女性からの人気も高い。日本では2019年6月から全国16カ所のディーラーで販売している。
マット社はこれまで、雑種犬を意味する「モングレル」や大型犬「マスティフ」など、一部のモデル名を犬の名前にしてきた。アキタは、過去に日本で流行したバイクを参考にデザインしたため、日本犬から名前を取ることになった。そこで選ばれたのが、海外でも忠犬として名高い秋田犬だった。
ピーシーアイによると、マット社の創設者でアキタをデザインしたベニー・トーマス氏は「日本犬と言えば秋田犬。主人に対して忠実で力強さも兼ね備えた優秀な犬種。このバイクの名前にぴったり。主人に忠実な秋田犬のように、持ち主が乗りやすいバイク」と話しているという。ピーシーアイの天野暁史・二輪事業部長(37)も「英国では、日本犬と言えば秋田犬というくらいイメージが定着していると聞く」と話す。
欧州では、秋田犬の人気が年々高まっているという。秋田犬保存会(本部・大館市)によると、海外20クラブのうち、欧州にあるのは5クラブ。19年の会員数は計171人だった。欧州に初めてクラブが誕生した10年前に比べ、犬の戸籍にあたる犬籍登録数は増加が続き、19年は175匹に上った。
ただ、保存会に登録していない秋田犬も相当数いるとみられ、保存会の担当者は「近年、海外から秋田犬を一目見ようと大館市を訪れる人が多く、人気の高まりを感じている」。バイクの名前になったことについては「まさかと驚いたが、うれしく思います」と話した。
車両本体価格は125ccが53万9千円、250ccが65万4500円。東北では仙台市の「MUTT仙台」で扱っている。問い合わせはMUTT仙台TEL022・241・9871