ここ数年、国内外で注目が高まっている秋田犬。大型犬だけに、いざ飼うとなると戸惑う人も多いだろう。5月3日、秋田県大館市で開かれた秋田犬保存会(秋保=あきほ)の「第143回本部展」で好成績を収めた飼育の達人たちに、それぞれの飼い方の流儀を聞いた。
岐阜県多治見市の今井深士さん(66)=自営業=は、今回の本部展で成犬A(4歳以上)雌と幼犬A(8カ月以上10カ月未満)の雄雌両方の計3部門で最優秀賞を獲得した。中でも幼犬A雄の「花竜(かりゅう)」と雌の「花竜姫(かりゅうひめ)」はきょうだい犬。「そろって最優秀賞を獲得できたことには感慨深いものがある」という。
小さいころから雑種犬を飼っていたという今井さん。近所で飼われていた秋田犬の姿に憧れ「いつかは飼いたいと思っていた」と振り返る。念願がかなったのは約20年前。現在は15匹を飼育し、これまで20回ほど最優秀賞を獲得してている。
秋田犬の飼育で気をつけているのは「餌と運動管理に尽きる」というが、どちらも一筋縄にはいかない。
餌は高タンパク、低脂質なものが望ましいほか、なるべく穀類を使わず、消化しやすいものが良い。今井さんは市販の餌をいろいろ試してみたものの、満足できるものはなかったという。
そのため、最近は英国の老舗メーカーに、鹿肉とサーモンを軸とした特注の餌を作ってもらっている。
「国内にも良質の餌を作ってくれる業者はあるが、まとまった量を確保するのが難しく、海外に特注している。良い犬を育てるためには、そこまでやらなくてはならなかった」
運動管理に関しては、個体差が大きく、適切な運動量の見極めが鍵を握る。
「単純に2、3キロ走らせればいいというものではない。運動のさせ過ぎで脚を悪くする犬もいる。後脚の状態をよく見て、どれぐらい負荷をかけていいか見極めることが大切。こればかりは経験が全て」
良い秋田犬の飼い主になるには「飼いやすく育てやすい秋田犬に、なるべく早い段階で出会うこと」と話す。さまざまなブリーダーに相談しながら、良縁をつかむ努力も必要だという。
【飼育の達人・それぞれの流儀】
(2)野原英隆さん(茨城) 余生も考えて育てよう
(3)仲野秀明さん(大阪) 雨の日も散歩欠かさず