勝大&おもち、癒やしをありがとう!

  • 2021-06-17
  • 2021-06-23
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 秋田県大館市の地域おこし協力隊員が飼育している秋田犬「勝大(しょうだい)」と「おもち」が、今月で任期満了を迎える隊員と共に市を離れる。同市の観光交流施設「秋田犬の里」の看板犬として人気を集めてきただけに、「卒業」を惜しむ声は少なくない。退任する協力隊員らに、2匹との思い出を聞いた。

今月で「秋田犬の里」を卒業する(左から)原田さん、おもち、勝大、加藤さん

 勝大は2018年2月15日生まれの赤毛の雄。フィギュアスケートのアリーナ・ザギトワ選手(19)=ロシア=の愛犬マサルのきょうだい犬とあって、高い知名度を誇る。おもちは同年6月1日生まれの雌。真っ白で愛らしい姿と豊かな表情で見る人を魅了してきた。

勝大(左)を持ち上げる加藤さん

 勝大といえば、人懐っこくサービス精神旺盛な犬として知られているが、飼育する加藤瞳さん(24)=愛知県出身=は「出合ったばかりの頃の勝大はやんちゃ盛りで、人に触られるのが好きじゃなかった」と振り返る。

 人に囲まれることに慣れるまではパニックを起こすこともあった。訓練を積み重ねるうちに、加藤さんがそばにいる時は、お客さんに触られても平気でいられるようになったという。

加藤さんに触ってもらう勝大。もふもふとした顔がこんな表情に

 「私自身、初めてのひとり暮らしで不安を抱えていたが、勝大に支えられ任期を全うすることができた。感謝している」

おもちゃで遊ぶおもち(左)と原田さん

 おもちを育てている原田櫻さん(23)=能代市出身=は「おもちも私も気が小さく、大きな音が苦手だった。さまざまな経験を経るうちに、私がいればおもちが安心でき、おもちがいれば私が落ち着いていられるという関係を築くことができた」と話す。

 原田さんがとりわけ思い出深いと話すのが、おもちが講談社が発行する女性誌「FRaU(フラウ)」の表紙を飾ったこと。「まさかあれほど有名な雑誌に載るとは思ってもみなかった」と語る。

目の前にあるおもちゃを狙うおもち

 今月1日には、会員制交流サイト(SNS)で3歳の誕生日を祝うライブ配信を行った。「本当にたくさんの人たちに愛してもらっていると実感した」

 秋田犬の里の佐藤和浩館長(62)は「ザギトワさんが先月に当館を訪れ、勝大に再び注目が集まっていた。おもちは写真映えがする子だった。雄で大きな勝大と、秋田犬としては小柄なおもちは対照的で、それぞれに多くのファンがいた」と話す。

加藤さん(左)とじゃれ合う勝大

 退任する隊員は今後、県外で生活する。勝大、おもちはそれぞれ隊員によく懐いており、市は引き離すことは2匹のためにならないと判断。大館を離れても、引き続き2人に飼育してもらうことを決めた。「これからは大館のファンとして、外から応援してもらいたい」と佐藤館長。

おもちを抱える原田さん

 2匹が秋田犬の里で来場者の前に顔を出すのは、今月26日の卒業セレモニーが最後となる。新型コロナウイルス感染の収束が見通せない中、協力隊員のSNSには「会いに行きたかったけど、会いに行けず…」といった残念がる声も声も少なくない。

 一方、「とても癒やされました、お疲れ様です」「これからはゆっくり自由にいつまでも元気でいてね」と2匹をねぎらうメッセージも多く寄せられている。

次世代エース・誉「後のことは任せて」

 勝大、おもちの卒業により、大館市地域おこし協力隊員が飼育する秋田犬は、間もなく2歳になる虎毛の雌「誉(ほまれ)」だけとなる。飼育する藤川琴里さん(23)=盛岡市出身=は「飼い始めた当初は大人しくて人見知りするのかと思っていたが、今ではおてんばで明るい子に育っている」と話す。

誉(右)と藤川さん

 秋田犬の里には、協力隊員や市内の秋田犬保存会会員らが飼育する十数匹の犬が1匹ずつ交代で展示される。今後は県外に住む秋田犬に登場してもらう計画もある。

 佐藤和浩館長は「新しい犬は、お客さまの前で落ち着いていられるよう、少しずつ展示室に慣らしていく必要がある」と話す。デビューして約1年の誉には、勝大とおもちの後を継ぐエース的存在として期待がかかる。

「秋田犬の里」の展示室の前にある案内板。展示されている犬の名前や特徴が分かる

 誉の名前は公募で決められた。名付け親の青森県の女性は「虎毛には秋田犬らしい強さと美しさがある。良い評判を得る犬になってほしい」との願いを込めたという。

 藤川さんは「虎毛の秋田犬の魅力を多くの人に知ってもらいたい。秋田犬保存会の皆さんと協力しながら、大館のPRにつながるよう、誉と一緒に頑張りたい」と意気込んでいる。

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わんこがつなぐ世界と秋田

モフモフした毛並みに、つぶらな瞳、くるりと丸まった愛らしいしっぽ。たくましい身体を持ち、飼い主に忠実な性格でも知られる秋田犬は、今や世界中の人気者です。海外での飼育頭数は増え続け、本場の秋田では観光振興に生かそうという動きも活発化してきました。秋田魁新報は「秋田犬新聞」と題し、国内外のさまざまな情報を発信していきます。秋田犬を通して世界と秋田をつなぐ―。そんなメディアを目指していきます。

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