羽後町「UGO HUB」の「SUN」 旅先でも笑顔届ける

  • 2023-10-19
  • 2023-10-19
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 秋田県羽後町西馬音内にあるレンタルスペース兼ゲストハウス「UGO HUB」(ウゴハブ)の看板犬は、6歳の秋田犬SUN(サン、雄)だ。サンは今年2月から3月にかけて、ウゴハブ代表で飼い主の村岡悠司さん(40)と共に車で43都府県を旅した。愛きょうたっぷりのサンは行く先々で人々に笑顔を届けた。

サン(左)と笑顔で戯れる村岡さん

 「一人息子のような存在。最近はサンと顔が似てきたねって言われるんです」。村岡さんは1階レンタルスペースで寝そべるサンをなでながらほほ笑む。6年前から一緒に暮らし、2020年のウゴハブオープン後は看板犬として、施設の交流サイト(SNS)にも頻繁に登場。その存在は徐々に知れ渡ってきた。

 そんなサンを連れて、村岡さんが旅に出ようと思い立ったのは今年の年明け。ウゴハブの予約が2、3月はほぼなかったことが背中を押した。若い頃に抱いた「日本一周がしたい」という夢が頭をもたげ、サンと一緒にマイカー(普通車)で鹿児島を目指し旅することを決めたという。

ウゴハブの1階で寝そべるサン

 「ノリと勢いの旅」とはいえ、「せっかく行くなら…」と、町民や友人、知人から旅先でこんなことをしてきてほしいという“おつかい”を募集した。

 「各地でいぶりがっこの試供品を配ってきて」「地域おこし協力隊時代にお世話になった人に代わりに会ってきてほしい」「島根県の出雲大社で御朱印を受け取ってきて」。サンと一緒に旅先での交流を楽しみながら、頼まれたおつかいをこなしていった。

鹿児島・佐多岬を旅した時の一枚=2月22日

 サンの周りにはいつも笑顔の人たちが集まり、写真を撮ったり、話しかけたり。見知らぬ土地でもサンのおかげで会話が弾んだ。秋田犬を間近で見たうれしさに泣き出す人や、宿泊先を提供してくれる人も。多くの人の好意で充実した時間を過ごすことができた。

 「サンがいたから出会えた人もいるし、人間の温かさにも触れることができました。太陽という意味の名前の通り、人を明るく元気にする力がある犬だと実感しました」。来年5月ごろには、第2弾となる北海道への旅も考えているという。

 村岡さんがサンと出会ったのは17年9月。当時勤務していた秋田市の旅行会社が、秋田犬を起用したPR動画を作成することになったのがきっかけだ。赤毛の秋田犬を探していると、ちょうど子犬が生まれたという能代市の犬舎から紹介を受けた。それがサンだった。「あまりのかわいらしさに一目ぼれしました」と村岡さん。犬舎に飼いたいと申し出た。

サン(左)を「1人息子のような存在」と話す村岡さん

 村岡さんはもともと仙北市角館町出身で、大学進学を機に上京。卒業後は首都圏の企業に勤務し、2015年から秋田市で暮らしていた。

 当時、勤務していた旅行会社は羽後町で外国人に日本文化を体験してもらうツアーの企画に力を入れており、村岡さんも秋田市から頻繁に羽後町に通った。次第に「もっと住民と深く関わりを持ちたい」と思うようになり17年9月、町に移住。その数日後、サンを迎え入れた。

 「すぐ大きくなるからね」。秋田犬を飼う知り合いの言葉通り、サンは1カ月に3キロ増のペースですくすくと成長。村岡さんはその姿を毎日のように写真に収めた。耳が垂れた子犬時代からすっかり大きくなった現在まで、どの写真も良い表情をしている。

 その後、会社を退職し、20年にウゴハブを開いた。「今ではサンがいなかった生活を思い出せないくらい。間違いなく人生の幸福度が上がった」と村岡さん。「サンが生涯を全うしたとき、この人が主人で良かったと思ってもらえたらうれしい。これからも元気で過ごせるよう、全力でサポートしたい」

 村岡さんとサンの人生の旅は、まだまだ続く。

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わんこがつなぐ世界と秋田

モフモフした毛並みに、つぶらな瞳、くるりと丸まった愛らしいしっぽ。たくましい身体を持ち、飼い主に忠実な性格でも知られる秋田犬は、今や世界中の人気者です。海外での飼育頭数は増え続け、本場の秋田では観光振興に生かそうという動きも活発化してきました。秋田魁新報は「秋田犬新聞」と題し、国内外のさまざまな情報を発信していきます。秋田犬を通して世界と秋田をつなぐ―。そんなメディアを目指していきます。

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