秋田犬のように、世界に知られる醸造所を目指す。そんな願いを込めて2022年に設立されたのが、秋田市の「HOPDOG BREWING(ホップドッグブルーイング)合同会社」だ。商品のラベルには、リアルなタッチの秋田犬が描かれている。
秋田犬ラベルは現在、横手市産ホップを使ったクラフトビール2種類と、県産リンゴを使ったハードサイダーで採用している。いずれも360ミリリットル入り638円で、県内外の酒販店などで扱う。
ラベルのデザインを担当したのは秋田市の佐藤杏樹さん(25)。秋田公立美術大を卒業後、市内の飲食店でスタッフとして働く傍ら、絵描きとしても活動している。元々クラフトビールが好きだったこともあり、醸造所代表の長谷川信さん(44)から依頼されて二つ返事で引き受けた。
佐藤さんは普段、小さい頃から好きだった動植物をモチーフに選ぶことが多く、秋田犬を描いたのは初めて。「かっこよく描こうとするとオオカミに近くなるし、毛のもふもふ感を強調しすぎるとゆるキャラみたいになってしまう。かわいさとかっこよさの共存が難しかった。見た人がハッピーな気持ちになってくれたらうれしい」と話す。
秋田犬ラベルの評判は上々で、県外のバイヤーから発注が入ることも。「ラベルは商品の大事な『顔』。秋田犬のイラストをめでながら、秋田産の原材料にこだわったお酒の味を楽しんでもらいたい。花見の席にもぜひ」と長谷川さん。
今後も、新商品を出す際には新たな秋田犬ラベルのデザインを考えているという。
醸造所は21年2月に廃業した秋田市最後の銭湯「星の湯」跡地をリノベーションした。タイル張りの床や壁をそのまま生かし、浴室に醸造設備を導入。脱衣所は試飲スペースになっている。