秋田県大館市で2年ぶりに開かれた秋田犬保存会の春の本部展。会場の桂城公園には真剣な表情で審査に臨んだり、訪れた人と交流して楽しんだりする愛犬家と秋田犬の姿があった。
この日は全国各地から約170匹の秋田犬がエントリーし、容姿を競った。由利本荘市前郷の会社員鈴木隆さん(70)は愛犬の「奈奈姫(ななひめ)」(生後6カ月、雌)を連れて初参加。真剣な表情で審査を見守った。
鈴木さんと奈奈姫の出合いは半年前。同保存会秋田中央支部長の遠藤莞爾さん(71)宅で、生まれた子犬4匹のうち1匹を譲り受けたのがきっかけだ。2月、遠藤さんから「骨格も毛並みも良い。本部展に出さないか」と誘われて出陳を決意。毎日欠かさず立ち姿のトレーニングを重ねてきた。
奈奈姫は鈴木さんにくっついてじゃれたがる甘えん坊な性格。第1審査ではたくさんの犬がいる環境になじめず落ち着かない様子だったが、第2審査では堂々とした立ち姿を披露した。
結果は20匹中6位。鈴木さんは「よくやった。いい子だ」と、優しく顔や背中をなでて出迎えた。奈奈姫のきょうだい犬は幼犬B(6カ月以上8カ月未満)部門の最優秀賞を受賞。審査で奈奈姫のリードを握った遠藤さんは「もっと上を目指せる素質のある犬。トレーニングを積み、良い賞を目指してほしい」と来年へ期待した。
会場には秋田犬ファンらが訪れ、審査の様子を見守った。出陳者以外で秋田犬を連れて過ごす愛犬家も。通りがかった人から「触っていいですか」「かわいいですね」と声を掛けられると「大丈夫ですよ」と笑顔で応じていた。