レジを打つようなしぐさで人気の秋田犬「梅子」がいる秋田県小坂町の酒販店「リカーショップたかはし」に、新たな看板犬が加わった。3月に生まれたばかりの梅子の弟「白岳(はくたけ)」だ。
梅子は今年2月下旬に3匹の雌を出産。うち1匹は生まれて間もなく死に、残る2匹は4月末までに新たな飼い主に引き取られた。熱心に子育てに励んでいた梅子にとって、子犬と離れたショックは相当大きかったようで、しばらくの間はほとんど食事を取ることもなく、ふさぎ込んでいたという。
梅子が生まれた大館市内にある犬舎のブリーダーが、気分転換になればと梅子の母親が今年3月に生んだばかりの2匹の雄の子犬を貸し出してくれた。すると梅子は2匹のうちの白毛の方をすっかり気に入り、自らのおっぱいを飲ませるなど、かいがいしく世話をし始めた。
梅子の飼い主の高橋延枝さん(57)は「本当は(もう1匹の)虎毛の方がいいかなあ、と思っていた」というが、梅子が白毛をとても気に入っていたこともあり、正式に家族として迎え入れることにした。名前は、梅子と同様、高橋という苗字に合うようにと延枝さんが考案。熊本県の有名な焼酎にちなんだ名前にした。
元々食が細い梅子とは対照的に、白岳は食欲旺盛。延枝さんが、2匹一緒に食べるようにと餌を与えても、梅子は白岳に遠慮してあまり食べようとしない。一方、白岳は梅子の分の餌も奪う勢い。生後2カ月余りで体重は10キロを超えた。「梅子より体が大きくなるのも時間の問題かも。あまり太り過ぎるのも考えものなんだけどな」と複雑な心境をのぞかせる。
産後しばらく、鹿角署の「秋田犬警察」や大館市の「秋田犬の里」での仕事を休んでいた梅子だが、今月下旬にも、白岳と一緒に秋田犬の里に登場する予定だ。そのうち、白岳が梅子の真似をしてレジを打とうとする日が来るかもしれない。