リカーショップたかはしの営業時間は午前7時~午後8時(日曜・祝日は午前8時開店)。年中無休だ。開店作業は高橋延枝さん(56)の夫・盛喜さん(52)が行い、梅子と延枝さんは午前7時半ごろに店に出勤する。といっても自宅から店まで徒歩1分もかからないが。
朝の散歩を終えて一息つくと朝食の時間。梅子は総じて食が細く、気分によって食べる量が変わるという。この日も、皿に盛られたエサの半分ぐらいしか食べなかったため、延枝さんはエサが残ったままの皿を持って梅子と店へ向かった。
出勤後の梅子は、動物病院やトリミングなど外出する用事がない限り、閉店までの長時間、レジのあるカウンターの内側で過ごす。中でも定位置となっているのが、国道282号に面した正面の入口近くの、レジのあるカウンターのすぐ脇の場所だ。「高橋梅子」と書かれた表札が付いている。リードをつないでいることもあれば、出入り口を柵でふさぎ、カウンター内を梅子に自由に歩かせることもある。
家から持ってきたエサの皿と水の入った皿は定位置とは反対のカウンターの端に、トイレはカウンターの奥にある倉庫に置かれている。
梅子の定位置は、午前中は日差しが強く、暑いことも多いと思われる。取材当日は大館市で最高気温37・3度を記録するなど、県内全域で猛暑が続いていた。記者(50)は取材の途中で立ちくらみをおぼえ、とっさに店内に設置されているエアコンの前へと逃げ込んだ。しかし、梅子は平気そうな顔をして、その場にじっとおとなしくしていた。
今は夏休みなので姿を見掛けないが、朝は小坂小に登校する児童をじっと見送っているという。「常連客が店の前を通り掛かると、梅子は嬉しそうに反応する」と延枝さん。客の出入りを把握するのも梅子の“お仕事”の一部のようだ。
午前7時40分ごろ、2人の子どもが勢いよく店に駆け込んで来た。高橋さん夫妻の孫の莉子ちゃん(5)、壱咲(いっさ)ちゃん(4)きょうだいだ。二人とも小坂町内の幼稚園に通っているが、毎日一度は店に顔を出しており、梅子とも仲良しだ。壱咲ちゃんはさっそく梅子とじゃれ合い始めた(壱咲ちゃんはアレルギーがあり、梅子の毛に触れると体にかゆみが出るのが悩みだが)。
梅子が高橋家に来たばかりの頃は2人と梅子の体格差はさほどなかったが、秋田犬の成長は早く、今では梅子は2人より明らかに大きくなった。それでも2人は「梅子はかわいいから大好き」と口を揃え、怖がることもなく、梅子と仲良くじゃれあっていた。
“レジ打ち動画”でブレーク! 酒店の看板犬・梅子の日常
(1)朝の散歩
(3)レジ係就任
(4)常連客との交流
(5)閉店後のお楽しみ