秋田県小坂町の酒販店「リカーショップ たかはし」の看板犬「梅子」(1歳、雌)が人気だ。同店のツイッターに、まるでレジ打ちをするかのようなしぐさをとらえた動画が掲載されたのを機に注目度が急上昇。鹿角警察署からは「秋田犬(県)警察官」に任命され、メディアに登場する機会も増えている。そんな梅子は、どのような日常を過ごしているのだろうか。8月上旬のある日、梅子の一日に密着した。(取材・鎌田一也、藤岡真希)
午前4時50分、記者(50)が店の裏手にある飼い主の高橋延枝さん(56)の自宅に到着すると当時に、梅子から激しくほえ立てられた。いつもは午前5時ごろから散歩を始めると聞いて、余裕を持って到着したつもりが、梅子に「遅いよ! 早くしてよ!」とせかされているかのようだった。
延枝さんによると、冬場は午前6時ごろから散歩をしていたが、夏になり、暑さを避けるために時間を早めたという。最近は午前4時半ごろになると、梅子が一緒に寝ている延枝さんを起こすようになったのだとか。「いつまでも寝たふりするわけにも行かないので、散歩に行く時間が早まってきている」と延枝さんは苦笑いする。
「梅子はとても臆病な性格で、初めての人にはどうしてもほえてしまうことが多い。そのうち慣れればおとなしくなる」との延枝さんの言葉通り、歩き始めて間もなく、梅子はおとなしくなった。
散歩コースは町中心部にある小坂中央公園や小坂川の河川敷など。小坂鉱山事務所、康楽館などの観光スポットの近くも通る。毎日少しずつコースを変えているという。
延枝さんは時々立ち止まっては、梅子におやつを与えている。散歩中に他の人とすれ違っても、ほえないでいられた時のごほうびだという。「時々、あげ忘れると『あれ? 今わたしちゃんと我慢できたよね?』と目でおやつを促されることもある」と延枝さん。
小坂川の河川敷へと下りる直前、延枝さんは首を左右に振って周辺を念入りに確認していた。「最近はこの辺りにもクマが出没していて物騒だから」。そういえば延枝さん、熊鈴とラジオを持参していた。
40分ほどで散歩を終え、自宅に戻ると、高橋さん宅で飼われているもう一匹の犬・ビビが待ち構えていた。6歳になる雌のマルプー(マルチーズとプードルのミックス犬)だ。
梅子とビビの関係性は何とも微妙だ。梅子はビビと仲良くしたそうに見えるが、ビビにとって、自分より体の大きい梅子はちょっと怖いのだろう。梅子が近付こうとするとすぐに逃げてしまう。でも、すぐにまた戻ってきて梅子に近付こうとする…の繰り返しだ。
2匹の様子を、延枝さんは、往年の米の人気アニメを引き合いにこう例えた。「梅子とビビは、高橋家のトムとジェリーです」
“レジ打ち動画”でブレーク!酒店の看板犬・梅子の日常
(2)出勤
(3)レジ係就任
(4)常連客との交流
(5)閉店後のお楽しみ